坊やがインフルエンザにかかった。わたしに似て注射大恐怖者なので、今年から予防接種はしないことにしたせいかもね。しばらくはマンガでも読みながら、ゆっくりしていよう。
藤野民といえば「反ワクチン」。子供に麻疹や日本脳炎などの予防接種を受けさせる親はほとんどいない。
以前、坊やがおたふく風邪にかかったとき、それを聞きつけた藤野婦人が中学生くらいの息子を連れてきた。おたふく風邪をうつして欲しいというのである。
坊やが使ったスプーンをしゃぶらせたり抱きつかせたりして、ムンプスウィルスを取り込もうと必死だった。
残念ながら、感染はなしえなかったらしい。長じてからのおたふく風邪は重篤化する。悪あがきしないで、そろそろワクチンを打ったほうがいいのではないかな。
予防接種で心配なのは副反応だ。腫れや痛みといった軽度なものから、急性脳症や肝機能障害といった重度なものまであるという。
麻疹の予防接種が自閉症の原因であるという説もあるし、インフルエンザワクチン接種後の死亡者も年に数例あることを思えば、神経質になるのも無理もない。
予防接種をめぐっては、ワクチン推進派と反ワクチン派それぞれが論陣を張っている。わたしには判断がつかないので、原則、厚生行政の推奨にしたがっている。
反ワクチン主義者は、往々にして免疫主義だ。「免疫力は自前で獲得せよ」というメッセージはロハス系を魅了する。
「ワクチン接種なんてもってのほか。麻疹パーティーやっちゃおう!」
と子供たちを集め、はしかをうつしあう。藤野では未確認だが、こんな「麻疹パーティー」を開催する過激人もいるという(その設定の不自然さのほうが、子供の免疫力を下げるような気がするのだが…)。
イタリアでは今夏、反ワクチンを訴える政党が勝利して、ワクチン接種義務が撤廃された。そのためヨーロッパでは現在、はしかが大流行。過去10年で最悪の事態を迎えているという。
「はしかの大流行が、藤野から起こるかもね」昨日、地元の旧友とこんな話になった。
藤野発のパンデミックは、さすがに大袈裟だとは思うが、すぐそこにある反ワクチン集団の存在は、子供を持つ地域住民としては神経質にならざるを得ない。
個人の主義主張は尊ばれるべきであるが、それが公共の福祉を脅かしてまで優先されるものではない。
わたしはなにも「予防接種を受けろ」と言っているのではない。わたし自身、子供に受けさせていない予防接種もあるし、何よりも、わたし自身が逃げおおせた「必須接種」もじつはある。今回のイタリアの接種義務撤廃は、わたしが子供だったらガッツポーズだったはずだ。
だが、ひとたび親ともなると慎重にならざるを得ない。衝動とイデオロギーで子育てはできないからだ。