先日のNHKスペシャルで、サーカスをいとなむ大家族のドキュメンタリーを放送していた。
主人公の小学生の少年は、興行にあわせて2ヶ月ごとに転校を繰り返し、トレーラーハウスに暮らし、日々鍛錬に明け暮れ、観客を前に危険な曲芸を披露する。
いわゆる「理想の教育環境」とはとうてい言えないが、子供たちの目は輝き、表情は溌剌としていた。それは、誇りと余裕すら感じさせた。
人生の主題に出会い、それに意欲的に取り組む。これが教育目標の最たるものではないか。
その点、この少年を取り巻く環境は成功しているように思える。
緊張感と責任感がともなう「主題」をみずから据え、これを家庭がサポートし、学校は見守る。
いかにも子供の教育環境など念頭になさそうな、それでいて元気溌剌としている両親が、結果的に子供の自立を現出し意欲を引き出している。
こと人生の主題を発見するという点においては「理想の教育環境」などさほど関係ないようだ。
むしろ、親による過度な整備と干渉が、子供の「人生の主題」との邂逅を妨げるほうが問題だ。自戒したい。